11月29日:ラストステージ/事象の地平線(ダンス・朗読・ピアノ)@渋谷

星の最後は、燃料である軽い物質(水素やヘリウム)が燃えつきて重い物質になり、燃焼エネルギー(核融合反応)も減少すると、みずからの重量で中心にむかって崩壊します。
質量が中心に集中し、重力も増えつづけ、底なし井戸のようにすべてのものを呑みこむ存在となります。
ある面から内側は光ですら脱出できない重力場となり、星はブラックホールとなります。
その面のことをシュバルツシルト面とか事象の地平線(イベントホライズン)などといい、内側は我々が知ることのできない世界です。

「語りえぬものについては沈黙しなければならない」ウィトゲンシュタイン

人の生涯も最後は事象の地平線を超え、だれも見たことも知ることもできない彼方へと向かいます。
しかしその手前——事象の地平線の表層では、現実と非現実がせめぎあう奇妙な現象が起きています。
というより、そもそも私たちの人生は生まれおちた瞬間から事象の地平線にむかってゆるやかに落下していく奇妙な現象の体験であるともいえます。

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オーストラリア在住の矢澤実穂(ダンス)、現代朗読の野々宮卯妙、テキストと即興ピアノ演奏の水城ゆうの3人による「ラストステージ」の公演をおこないます。
長年のつきあいの3人にとって、今回ほど一期一会を噛み締めて集まる日はないでしょう。
事象の地平線に向かおうとする今、ここにすべてを注ぎ込みます。
テキストもこの日のために新作SF短編を水城が書きおろします。


会場は、渋谷駅から徒歩5分に位置する渋谷区総合文化センター大和田。
高い天井の広々とした大スタジオ。グランドピアノがあり暗転可能なスペース。
われわれ3人にとって、まことに申し分のない、最高のステージ条件といえましょう。
この最高の場に集ってくださったみなさんと、事象の地平線を体験する時間を、ともに過ごしたいと思います。


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体験を深めるために……

リラックスできる服装で、床に座ったり寝転んだりしたければシートやひざ掛けを持参して、おいでください。
そして、ペンとノートを。絵の好きな方なら色鉛筆やクレパスやスケッチブックもお持ちください。
「コンサートのあとのあなた」に必要になる、かもしれません。


※お申し込みはこちらから

◎日時 2019年11月29日(金)19時開演(18時半開場)全席自由
◎会場 渋谷区文化総合センター大和田(東京都渋谷区桜丘町23-21)
◎料金 予約 3500円/当日 4000円